こんには、サクです。
今回は事業承継・M&Aエキスパート試験(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)についてご説明します。
中小企業診断士の中でも、事業承継は人気の分野ですよね。
基礎知識を学ぼうと考え、資格取得にチャレンジしました。
ネット上では難易度が高くないという風に書かれていましたので、舐めてかかってました・・・・。
税制等がかなり理解できず、実は一度不合格となってしまいました。
金融機関に勤めていないと、中々頭に入ってきませんね(^^;)
今回何とかリベンジできましたので、試験勉強のポイントをお伝えできたらなと思います。
中小企業診断士が事業承継&M&Aエキスパートを取得するべき理由
本資格を取得するべき理由について解説です。
中小企業経営者の高齢化が進んでおり、さらに後継者問題が深刻となっています。
後継者難による廃業する理由が増加しています。
今後事業承継に関する相談が増加すると想定されます。
そうした相談に対し、まずは一次対応できるような基本知識を習得することが必要となります。
試験内容
試験内容は下記の通りです。
試験名 | 金融業務2級 事業承継・M&Aコース |
試験時間 | 120分 |
出題形式 | 四答択一式30問、総合問題10問 CBT方式により実施 |
出題範囲 | 1.事業承継関連税制等 2.事業承継関連法制等 3.M&A基礎知識・関連会計 4.M&A関連法制等 5.総合問題 |
合格基準 | 100点満点で70点以上 |
受験手数料 | 7,700円 |
基本的に試験問題集を何回も回せば受かるようなことがネット上では記載されていることが多いです。
しかし問題集なので体系的に知識を学べないんですよね。
理解できないところを、テキストの戻って復習するようなスタイルが私には合っていますので、覚えるのに苦労をしました。
多少費用がかかっても良いなら、通信講座を受けるのも手ですね。
➢事業承継入門講座(事業承継・M&A3カ月コース)
あまり費用はかけたくなかったので、私なりに理解できなかったところやポイントを問題集から抜き出して時間がある時に眺めていました。
その内容をご紹介します。
試験内容ポイント
分かりづらい内容のポイントについて書きなぐりました。
2021年度 金融業務2級事業承継・M&Aコース 試験問題集から引用させていただいています。
1.事業承継関連税制等
・相続開始前3年以内にその被相続人から贈与により取得した財産の価額は、贈与により取得した時の時価による。
・相続開始前3年以内に被相続人から受けた贈与財産であっても、被相続人から相続または遺贈におり財産を取得していない者が受贈者の場合は、当該贈与財産は相続性の課税対象にならない。
・民法上、相続人になることができる養子の数に制限はない。相続税計算の場合は制限される。
・小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けるためには、相続税の申告書等の提出が要件
・相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税額があるときは相続税の申告が必要。
・基礎控除 3000万円+(600万円×相続人数)
・暦年課税 基礎控除は一人110万円 {贈与財産の価額の合計額(課税価格)-基礎控除額(110万円)}(@)×税率-控除額
・相続時精算課税
贈与の年の1月1日時点で60歳以上の親または祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合選択可。その贈与者から受け取った財産の合計2500万円になるまで贈与税が非課税。
・相続時精算課税を一度選択した場合は、その対象となる贈与者からのその後の贈与について、暦年課税に変更できない。贈与財産の受贈時の価額が相続税の課税価格に加算される。
相続時精算課税は2024年からルールが変更になります。
届け出後も年110万までの贈与は申告の必要がなく相続財産に加算しないことになります。
・正面路線価 評価する宅地に接する道路に付されている路線価のうち、その路線価に奥行価格補正率を乗じた後の価額の比較において一番高い路線価をいう。間口が狭小な宅地である場合は、間口狭小補正率を用いて評価する。
・倍率方式 固定資産税額に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて評価する方式。固定資産税評価額には宅地の地積や形状等の個別事情は織り込み済み。
・相続税評価(不動産の評価)
貸宅地 自用地価額×(1-借地権割合)
借地権 自用地価額×借地権割合
貸家 固定資産税評価価額×(1-借地権割合)
・贈与により取得した資産の取得の日は、原則として、贈与者がその資産を取得した日
・相続または遺贈(限定承認にかかるものを除く)により取得した資産の取得の日は、原則として、被相続人がその資産を取得した日
2.事業承継関連法制等
・相続人が複数人いる場合の各遺留分割合は、直系卑属のみが相続人である場合は3分の1,その他の場合は、2分の1に各相続人の法廷相続分を乗じた額
・遺留分に関する民法特例とは、事業承継における課税上の制約を解決するために経営承継円滑法において創設された制度で、除外合意と固定合意がある。
除外合意とは生前に贈与された自社株式の価額を遺留分算定基礎財産に算入しない制度であり、固定合意とは遺留分算定基礎財産に算入するが、その価額を贈与時の評価額に固定する制度である。これらの合意をした場合、それに併せて付随合意をすることもできる。
これによって、生前贈与株式が遺留分減殺請求の対象となることを回避したり、贈与を受けた後の後継者の貢献部分を遺留分算定基礎財産から除外することが可能となる。
■非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例+B70:D84
・受贈者である後継者の要件
①会社の代表権を有していること
②18歳以上であること
③役員就任から3年以上を経過していること
④後継者および後継者と特別の関係がある者で、総議決権数の50%超の議決権数を保有することとなること
⑤後継者の有する議決権数が、イまたはロに該当すること(特例措置)
イ:後継者が1人の場合
後継者と特別の関係がある者(ほかの後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
ロ:後継者が2人または3人の場合
総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの
議決権数を保有することとなること
※先代経営者の年齢の要件は不要
本特例の適用を受ける受像者である後継者が贈与者である先代経営者等の推定相続人以外の者であり(その年の1月1日において18歳以上)
かつ、贈与者が同日において60歳以上である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができる。
・民法における財産の配分という概念で議論すると、相続発生時の時価がベースとなる。
3.M&A基礎知識・関連会計
・営業権 年数×{正常利益ー時価総資産価額×(10年国債利回り+リスクプレミアム)
・相続や贈与により取得した株式は、被相続人または贈与者の取得費を引き継ぐ
・みなし配当課税が生じるのは、個人株主が株式を発行会社に譲渡した場合(金庫株制度)
・事業譲渡の場合、消費税の課税取引に該当する場合がある。
4.M&A関連法制等
・株式の全部または一部について、株式の譲渡制限に関する規定のない会社を公開会社といい、株式全部について譲渡制限に関する規定がある会社を公開会社でない会社という。
・株式交換 既存の会社がほかの会社の株式の100%を保有する完全親会社となる手法
・株式移転 新設会社が完全親会社となる手法
・株式交付 株式会社が他の株式会社を子会社とするために当該ほかの株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して、その対価として当該株式会社の株式を交付する手法
※株式交換は、対象会社を完全子会社化する手法であるのに対し、株式交付は、対象会社を子会社する手法
・合併の場合、合併消滅企業の従業員の雇用契約は、法律上当然に合併存続企業に承継される。
・事業譲渡の場合、売手企業の労働契約は自動的に承継されるものではないため、買手企業において従業員を新たに雇用するという考え方が原則
5.事業承継・M&Aコンサルティング
・功績倍率法による役員退職金 計算方法 最終役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率
・マーケットアプローチにおける倍率法
・EBITDA 営業利益+減価償却費
・事業価値:事業から創出される価値(EV)
時価総額+有利子負債ー現預金
・企業価値:事業価値に加えて、事業以外の非事業用資産の価値も含めた企業全体の価値
事業価値+現預金
・株式価値:企業価値から有利子負債等の他人資本を差し引いた株主に帰属する価値
企業価値ー有利子負債
・倍率法(マルチプル) EV/EBITDA
引用元
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験問題集 一般社団法人金融財政事業研究会
まとめ
廃業を選択されている中小企業中で、6割は黒字企業と言われています。
雇用や技術力を世代交代させるためには、事業承継が重要となってきます。
そうしたことから中小企業診断士の業務として、事業承継に関する案件は増加すると想定されます。
そしてM&Aを実施した企業は生産性が向上しています。
日本の活力を向上させるためにも、事業承継やM&Aには積極的に関わっていきたいですね。
そのためにも事業承継・M&Aエキスパートの取得をおススメします。
以上、サクでした。