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【ビジネス書 おすすめ】売上最小化、利益最大化の法則ー利益率29%経営の秘密

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【ビジネス書 おすすめ】売上最小化、利益最大化の法則ー利益率29%経営の秘密

こんにちは、サクです。

今回は、

売上最小化、利益最大化の法則ー利益率29%経営の秘密
(ダイヤモンド社 木下 勝寿)

についてご紹介します。

株式投資をしている人なら一度は目にしたことがある「北の達人コーポレーション」

値上り率で一時期話題になりましたね。

社長在任期間中の株価上昇率ランキング日本一(1164%)とのことです。

そして利益率は驚異の29%!

本書はそんな北の達人コーポレーションの経営の神髄に迫ります。

そんな本書を読んだ感想を述べてみたいと思います。

この記事はこんな方向けに書いています。

・経営者、または経営に興味がある方

・デジタルマーケティングを勉強している方

・中小企業診断士2次試験受験者

本を読むきっかけ

今回この本を読むきっかけはkindleで他の本を読み終わって後に、レコメンドで表示されたのがきっかけです。

株式投資をしていて株価の上昇率が半端なかったこともあり、名前は聞いたことはありましたが、何をやっている会社か全く知りませんでした。

読んでみるとイメージとは大きくことなり、基本的な施策を徹底的に行う堅実な会社であることが分かりました。

何かしらの気づきがありますので、ぜひ皆さんも読んでいただきたい本の一冊です。

売上拡大を目標とするのではなく、利益目標を目指す考えに目から鱗が落ちる感じです。



会社概要

主にインターネット上で一般消費者向けに自社オリジナルブランドの健康美容商品等を販売するEC事業を行っています。

高品質な製品を高度なサービスで提供しており、これに加えて、定期購入型のビジネスモデルを採用しているため、継続的に購入していただけることで安定成長する収益構造を実現しています。

本の概要

会社の弱点が一発でわかる「5段階利益管理」という独自の手法で利益率29%を実現する販売戦略

小さい市場で圧勝する商品戦略

ファンの心をつかんで離さない「演歌の戦略」(顧客戦略)

など、独自の視点から培った経営戦略を惜しげもなく公開されています。

グッときたところ

本書はビジネスで基本的な施策を徹底的に実践し、それを継続して磨きをかけているところに感銘を受けました。

その中でグッときたところとしては以下となります。

会社の弱点が一発でわかる「5段階利益管理」

財務会計と管理会計

本書のメインとなるのが5段階利益管理です。

これは一般に管理会計という手法となります。

ちなみに会計には財務会計と管理会計の2種類があります。

  • 財務会計
    債権者(金融機関や取引先など)や株主など、企業の外部関係者へ報告目的とするもの。
    一定の作成ルールが決められている。
  • 管理会計
    経営者・管理者などの企業の内部関係者に対して、経営管理は意思決定のための報告を目的とうるもの。
    基本的には作成方法や判断等は企業が任意で決めることができる。

5段階利益管理

これから出てくる5つ利益の概念は、北の達人コーポレーション内で使われているものとなります。

  1. 売上総利益(粗利) = 売上 -  原価
  2. 純粗利 = 売上総利益(粗利)- 注文連動費
  3. 販売利益 = 純粗利 - 販促費
  4. ABC利益 = 販売利益 - ABC(商品ごとの人件費)
  5. 商品ごと営業利益 = ABC利益 - 運営費

このように利益項目を細分化することにより、どのコストがどの段階でかかっている分かります。

そして月次で比較することにより、利益額や利益率が下がったときに「どの商品のどの段階に問題があるか」が一目瞭然となるのです。

売上は多くても、手間やコストがかかっていて利益が出ていない商品もわかるので、セールスミックスを考え利益を最大化することができるのです。

またより少ない手間やコストで利益を増やしていけるように改善することもでき、効率経営を進めていけるのです。

北の達人の凄みは、商品ごとだけでなく、商品ベースと出店しているネットショッピングモールベースでもやっていることです。

広告に関しても費用対効果によるコスト管理を徹底しています。

利益至上主義の再現性について

一般的な会社は売上至上主義で、売上を上げることに必死となります。

利益は後から突いてくるということなのですが、グロスでしか管理しておらず、実際に商品毎や顧客毎での利益管理は徹底できていない会社がほとんどではないでしょうか。

北の達人は利益に拘り、利益管理を徹底的に行っているところに凄みがあります。

一方で一般の会社が真似をしようとしても、大口顧客になるほど手間や時間がかかるのも事実。簡単に手放すことはできません。

北の達人のようにEC事業ですと、ロングテールのテールの部分で積み上げることも可能ですが、ここも簡単に実現できないと思われます。

要はバランスの問題として、何にどのくらいコストがかかっているかの認識を持つことが重要で、そのコストをどう削減できるかを考え続けることが必要だと感じました。

商品開発は「お客様の悩み」から始まる

大手企業が参入するには小さすぎる市場で、中小には真似できな高品質な商品を投入して、小さな市場で圧勝する戦略を取っています。

そして商品開発はプロダクトアウト的発想になりがちですが、北の達人では「お客様の悩み」つまりマーケットイン的発想から始めています。

一般的に商品形態を何にするかを決めて商品開発しますが、北の達人では悩みを解決するなら商品形態は問わないスタイルです。

結果悩みを解決する商品を開発したらたまたま化粧品となった、などです。

演歌の戦略

演歌の戦略とは以下をいいます。

利益を上げるには目立たないプロモーションで、必要としてくれるお客様に出会い、そしてそのお客様に愛され続ける。

演歌歌手は「お客様と直接会って握手をすること」を重視しています。

これはお客様に愛され続けるために「特別感」を提供し、ロイヤリティをもってもらうことを意味しています。

北の達人ではお客様と商品カウンセリングの担当者が直接対話をすることで、交流の機能を果たす役割を担っています。

1対1のコミュニケーションを取ることにより、お客様の心理的な側面を理解することでファンになってもらい、継続的に購入いただく仕組みを作っています。

まとめ

他にもデジタルマーケティングの方法や人材戦略など参考になる内容が盛りだくさんですので、ぜひ読んでいただきた一冊です。

営利企業の最終的な目標は利益を上げ続けることです。

商品品質に投資し、既存顧客との関係を維持すると、結果的に一人の顧客がその企業に支払う総額=LTV(顧客生涯価値)の向上につながり、高利益体質につなげられる。

この意識は持ち続けていきたいと感じました。

やはりマーケティングの基本は顧客視点が重要ということを再認識できます。

診断士2次試験受験者の方向けには、下記の記事で深堀したので合わせてご覧ください。



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