こんにちは、サクです。
今回は、
M&Aアドバイザー 企業買収と事業承継の舞台裏
(エネルギーフォーラム新書 山本 貴之 著)
を紹介します。
中小企業・小規模事業者の経営者のうち、65歳以上の経営者は全体で約4割を占め、今後数年で、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えると言われています。
相談者数・事業引継ぎ件数も年々増加しています。
出典:事業承継・引継ぎ支援センター
新聞紙面でも事業承継に関する記事を目にする機会が増えてきています。
そんな中で、中小企業に馴染みが無かったM&Aも、近年では事業承継の1つの選択肢として活用が広まっています。
中小企業診断士を取得されて、事業承継に興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。
本書はスケールの大小はありますが、事実に基づく「海外企業買収」「事業承継」「MBO」のケーススタディを通じて、「M&Aアドバイザー」としての交渉の全過程を追体験することができます。
著者紹介
山本 貴之氏
(株)価値総合研究所 代表取締役社長。
(株)日本政策投資銀行にて、国内外のM&Aアドバイザリー業務を統括された実績があります。
グッときたところ
本書はM&Aアドバイザーとしての交渉過程を追体験できることを目的とされているため、初期相談から買収後の経営姿まで時系列で章建てされています。
3つの案件が平行して進んでいくので、若干分かりづらいと思われるかもしれませんが、リアル感があってむしろ面白いです。
М&Aは途中経過が表に出ることがないため、ブラックボックスになっています。そんなM&Aを当事者目線で知ることができるので、あっという間に読み終えることができました。
実務的な本は多いと思いますが、実際の案件(モディファイはされています)がベースとなっているので、関係者の一員として参加したかのように理解ができます。
まとめ
平成28年度の調査になりますが、60歳以上の経営者のうち、50%超が廃業を予定しており、特に個人事業者の約7割が「自分の代で事業をやめるつもりである」と回答しています。
出典:中小企業庁 事業承継に関する現状と課題について
しかし廃業予定企業の中にも好業績企業が多く、せっかくの技術やノウハウの流出、また雇用が喪失してしまうのはもったいないことですよね。
中小企業の活力が日本の成長を支えていますから。
出典:中小企業庁 事業承継に関する現状と課題について
診断士として今後事業承継を支援していきたいと考えていらっしゃれば、本書はブレイク(破断)の危機に直面するさまざま局面で、下記のポイントを当事者の感覚で知ることができますので、M&Aや事業承継に興味がある方は読まれることをおすすめします。
- 当事者はどのように判断したのか
- M&Aアドバイザーはどのようにサポートしていったのか
- それが最終的にM&Aの成否にどのようにつながったのか