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【マーケティングトレース実践③】セリアの経営戦略

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【マーケティングトレース実践③】セリアの経営戦略

こんにちは、サクです。

今回マーケティングトレース実施したのは、小売・100円ショップ業界Seria(セリア)です。

先日ダイソーに買い物をしに出掛け、欲しいものが無かったのでセリアへ。普段家からはダイソーが近いので他のお店には行く機会が少なかったのですが、セリアに行って改めて思ったのは、

「客層が違う・・・・」

立地などの違いもあるでしょうが、明らかにダイソーと比較して客層が違っています。

マーケティングを勉強しているところなどで、俄然興味が湧いてきました。

100円ショップなんてどこも同じと考えていましたが、マーケティング戦略で違いがありそうです。

セリアがどのような経営戦略をとっているかトレースしてみたいと思います。







100円ショップの市場規模

100円ショップの市場規模は、2021年度はコロナ禍のすごもり需要の反動で厳しさもあったものの、前年度105%アップの9,500億円と順調に伸びています。

衛生用品やDIY、アウトドア製品、また独自の高機能商品などが伸びています。
また100円ショップといっても、最近は200円、300円などハイプライスの商品も取り揃えています会社もあり、売上を押し上げています。

出典:株式会社帝国データバンク 100円ショップ業界動向調査

ただし100円ショップ業界は収益力が落ちており、飽和状態が懸念されます。

セリア直近の業績

セリアの2022年3月期の業績は、売上は過去最高を更新しています。
ただし営業利益は販売管理費が増加したため、▲1.7%となり増収減益となりました。

しかし営業利益が低下したとはいえ、営業利益率は10.1%。競合のキャンドゥが1.3%と比較しても、かなり効率良く稼ぐ力があります。

また有利子負債もほとんどなく、財務体質も堅強。積極的な出店施策を取っています。未出店地域を重点開拓しています。

外部環境分析

外部環境分析(PEST分析)を行います。

物価上昇が起こっている中で、セリアは100円均一を貫いています。

競合の定義

業界は4社メインとなっています。

その中でセリアは独自のポジショニングを取っています。

STP分析

セリアは競合他社と比較してどのような違いがあるのでしょうか。

STP分析から違いを考えてみます。

セグメンテーション/ターゲティング

ターゲットは、おしゃれやかわいいものが好きな20~30代の女性。ちょっとした雑貨を買いたいときにふらっと駅近のお店に入り、気に入ったものがあれば購入するような消費者層を想定しました。

ポジショニング

ポジショニングマップでは下記のように整理しました。

セリアは若い女性向けに日常使いできるものをおしゃれなデザインで、ダイソーは幅広い消費者層に向け品揃えを充実、キャンドゥはその中間的なポジショニングと考えました。

4P分析

4Pのフレームワークで分析します。

Product

商品はデザイン重視で、女性が好みそうなおしゃれ・かわいいアイテムが多い印象です。
一方食品はほとんどの店舗では扱っていないようです。食品の仕入れの割合は2%です。
違う業界ですが、ドンキホーテが食品を安くして他の商品の利益を補完しているのとは逆の戦略を取っており、面白いですね。

商品アイテム数は約20000点と定められ、月間500~700点を消費者ニーズや消費動向を見ながら入れ替えています。

Price

価格は100円にこだわっています。競合は200円、300円とハイプライスの商品を揃えているハイ・ローミックス戦略が主流となっていますが、セリアは100円で100円以上の価値を出すことにこだわり続けています。ターゲットを若い女性としているので、購入しやすさを重視しているのかもしれません。STPポリシーに沿った価格付けと考えれます。

Place

郊外店もありますが、商業施設内中心に人口流入の高いエリアに積極的に出店をしています。
店内も競合と比較するとおしゃれな造りとなっており、女性メインをターゲットにしていることがうかがえます。

Promotion

リアルタイムPOSシステムに独自アルゴリズムを組み合わせる発注システムを活用することで、売れる商品を補充・発注でき、売り漏らしを防いでいます。在庫回転率も11回をキープしています。データ活用が進んでおり、商品の販売動向、在庫等の全社的なデータ管理及び各店舗での発注状況や商品陳列状況のモニタリグにより欠品防止や商品開発にも利用されています。

現社長が銀行時代にシステム関係を手掛けていたことにより、データの重要性を認識されていたようです。経営トップが積極的なデータ活用を進めていることが好業績の要因ですね。

一方でインスタグラムなどSNSの活用はほとんどされていないようです。

セリアの成長要因

セリアの成長要因としては、

  • STPポリシーに沿った商品アイテムの取り揃え・店舗造り
  • リアルタイムPOSシステムで取得したデータの有効活用
  • 100円以上の価値をある商品を100円で販売できる商品開発力

STP分析→4Pがしっかりできており、そのうえでデータをしっかり活用していることが要因と考えました。

➢100円+感動マーケティングという考え方

もし自分がセリアのCMOだったら

ここからは、自分がセリアのCMO(チーフマーケティングオフィサー)だったらという目線で考えます。

セリアのようなデザイン性のある商品とインスタグラムなどのSNSは相性が非常に良いと思います。現在活用していない理由があるのか不明ですが、インスタ中心にSNSを利用したWebマーケティングを実施します。

ヘビーユーザーのインフルエンサーと協働しておしゃれな部屋造りやかわいい小物を紹介する、いわゆるワークマン方式ですね。

また海外でも「かわいい」は共通言語になっています。海外での展開がまだあまりできていないようなので、海外での出店展開を検討します。
100円ショップは「規模の経済性」が効く業界。大量に生産することにより原価軽減をするためにも販売チャネルは増やす必要があります。

中小企業が参考にできる戦略

今回セリアを分析していて感じたことは、ターゲット・ポジショニングを明確にした商品・店舗造りをしていることです。STP分析→4Pを自社で再度検討し、STPポリシーに沿った経営戦略を策定・実行していくことです。

そうは言ってもなかなか難しい場合は、まずはどのようなお客様が自社のターゲットかを具体的の想像することから始めてはいかがでしょうか。

以上、サクでした。


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