こんにちは、サクです。
今回は、
ワークマン式「しない経営」
4000億円の空白市場を切り拓いた秘密
(ダイヤモンド社 土屋 哲雄 著)
をついての書評となります。
皆様はワークマンには行かれたことがありますか?
ワークマンといえば作業着。
昔から看板は良く見てましたが、作業着などは普段買うこともないので今まで一度もお店に行くことはありませでした。
しかしここ数年、ワークマンプラスという新しいコンセプトのお店を出店し、ワークマン女子なるバズワードも生み出しています。
最近はお店の名前自体「ワークマン女子」というお店があるようです。
しかも株価も急上昇しており、2017年から2019年にかけて約6倍に成長しています。
そんなワークマンがどのよう経営戦略をとったか大変興味を覚えました。
本書はワークマンの真髄である「しない経営」と「エクセル経営」の両輪によりブルーオーシャン市場を頑張らずに切り拓いた秘密に迫ります。
著者紹介
土屋 哲雄氏
株式会社ワークマン専務取締役
三井物産の出身で、2012年にワークマンに入社されています。
プロ顧客をターゲットとする作業着専門店のワークマンに「エクセル経営」を導入して、社内改革を行われました。
グッときたところ
- 社員のストレスになることはしない
- ワークマンらしくないことはしない
- 価値を生まない無駄なことはしない
「しない経営」がブルーオーシャン市場を発見し、客層拡大して業績を上げたか語られています。
普通の会社での一般常識とは真逆をいく経営は、経営戦略を考えるうえで参考になると思います。
「しない」に拘る
とにかく「しない」に拘っています。
- 残業しない。
- ノルマと短期目標を設定しない。
- 他社と競争しない。
- 値引きをしない。
- デザインを変えない。
- 顧客管理をしない。
- 取引先を変えない。 ・・・etc
一般の企業が当たり前のようにしていることを一切やっていません。
むしろ頑張ることを禁止しています(笑)
それでも業績は連続更新しています。
それぞれに意味があってこそなのですが、やるべきことはやって、無駄なことはそぎ落としていく。一般の会社はやることを増やしていく逆をいく潔い姿勢に学びがあります。
自社の強みを活かし、ブルーオーシャン市場を発見する
成長を狙うために、新たに進出する市場を考えるときに、既存市場と隣の市場を狙う戦略を取りました。
作業服市場とアウトドアウェア市場では「機能性」で共通します。
また作業服のスタイリッシュ化が進んでデザイン性が向上してきて、市場が被る部分が増えてきたと仮説を立てました。
そしてアパレル市場に、自社の強みである「機能性」と「低価格」という市場に4000億円の空白市場があることを発見しました。
出典:「しない経営」「データ経営」で4000億円の空白市場を切り開いたワークマンのマーケティング手法
見せ方を変えて、客層を変える
4000億円の空白市場をターゲットに、ワークマンでは一般向けのアウトドア製品を展開し、客層拡大を図るために「ワークマンプラス」という新業態のお店を出店しました。
凄いところは、そこで新たに開発した製品があるわけではないところです。
ターゲットに合わせて同じ製品の見せ方を変えたのです。
出典:DIAMOND online
作業系は機能面で購入するのでデザインなどは重視されていません。
しかし一般客向はデザイン重視ですので、マネキンや全身が映る鏡を用意しました。
もともとあった製品をマネキンに着せて客層(アウトドア一般客)に販売して、製品でなく客層を拡大したのです。
どうしたら「お客様視点」を得られるか
新製品を開発する時は、メーカー側の思い込みによるプロダクトアウト的になりがちです。
ワークマンでは製品の使い方はお客様の方が知っているという思想のもとに、エクセル経営でのデータ分析により異常値の検知を行っています。
つくり手が知らない隠れた用途などが分かることがあるようです。
アウトドアや登山、ツーリングなどですね。
またワークマンのヘビーユーザーであるブロガーやユーチューバーをアンバサダーになってもらい、製品開発から携わってもらっています。しかも無料で!
消費者の意見を組み入れやすくなります、SNSやYouTubeでも紹介されるので一石二鳥。
このアンバサダーマーケティング戦略もワークマンの成長を支えています。
今後商品開発に協力してくれるファンを倍増する計画とのことです。
ワークマンのアンバサダー三原則は以下となります。
①不満ほどありがたい | ほめられるより、物足りない点をしてくれる方が商品力を磨ける |
②金銭関係はなし | 広告塔ではなく対等の立場での意見交換を重視 |
③コミュニティーの熱量を重視 | その分野にこだわりを持つフォロワーが多いほど、購入してくれる確率が高まる |
まとめ
他にもデータ活用をほとんどできていなかったワークマンが、データ分析のためにエクセルを活用するわゆる「エクセル経営」を、どのように導入して成果を出していったかも興味深いものがあります。
実際にワークマンの店舗にいきましたが、朝から家族連れも多く、人気が出ていることが実感できました。
品ぞろえも豊富ですしね。
本書を読んで実店舗にいくと、また違った面白さがありますので、ぜひ読んでいただきたい一冊です。