こんにちは、サクです。
今回は、今読んでいる世界標準の経営理論(入山 章栄著 ダイヤモンド社)
「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」
についてご紹介します。
ボリュームが多い本ですので、今回はリソース・ベースト・ビュー(RBV)についてご紹介します。
SCPだけでは企業の競争力を説明するには不十分で、企業リソースについて十分な注意を払う必要があるという主張です。
以下自分なりに要約します。
リソース・ベースト・ビュー(RBV)
リソース・ベースト・ビュー(以下RBV)とは、企業は何かしらのリソース(経営資源)を投入し、そこからアウトプット(企業の製品・サービス)を生み出しています。SCPはアウトプット側の構造・戦略を分析していますが、アウトプット側に着目するのがRBVとなります。
企業リソースの例として、人材、技術、知識、ブランド、企業の立地条件、工場施設、財務資源、サポート企業との関係、等があります。
市場が独占に近づくほど利潤が高まるこては前回お伝えしていますが、企業リソースの面から考えると以下のようになります。
企業はリソースを独占していれば、アウトプット側を独占したのと同じように超過利潤を高められる。
リソースの模倣困難性
さらに深堀して考えていくと、企業リソースを単に独占するだけではダメで、それを真似されないようにする必要が出てきます。
企業が一時的にリソースを独占できても、それを他社に模倣されたらその価値は長続きしない。リソースは他社が模倣しにくいものでなければならない。
そこでリソースの組み合わせに着目していきます。企業は人材・技術・ブランドなど複数のリソースを持ち、それらを組み合わせることでビジネスを行っています。大事になるのはその一つひとつの価値よりも、その組み合わせ方にある、と考え、その組み合わされたリソース群が以下のような条件を持つとき、ライバルは模倣が困難になると考えられます。
①蓄積経緯の独自性
企業が時間をかけて組み合わせて蓄積したリソース群ほど、その企業独自のものになるので模倣されにくい。
②因果曖昧性
因果関係が複雑なリソースの組み合わせほど、「そのなかで何がいちばん大事なのか」「価値を出す根本の原因は何か」がはっきりしないので、他社は模倣しにくい。
③社会的複雑性
リソースが複雑な人間関係・社会的関係に依拠すること。複雑性が高いほど他社がそのリソースを活用したり、扱ったりすることが難しくなる。
持続的な競争優位性
企業が成長していくためには、持続的な競争優位性を持つ必要があります。競争優位とは、「他社にはできな価値創造戦略を起こす力」のことであり、それが持続的ということは、「その力がある程度の間、続けられる」ことになります。要は「長い間、ライバルよりも高い業績をだせる力」ということです。
「競争優位」を実現する企業リソースの条件
「競争優位」を実現しうる企業リソースの条件は、価値があり(valuable)、稀少(rare)であることになります。
さらに必要な条件として、模倣困難(inimitable)で、代替が難しい(non-substitutable)こととなり,模倣困難性に必要な条件として、上記の「蓄積経緯の独自性」「因果曖昧性」「社会的複雑性」となります。
・企業リソースに価値があり、稀少な時、その企業は競争優位を実現する。
・さらにそのリソースが、模倣困難で、代替性が難しい時、その企業は持続的な競争優位を実現する。この時リソースの模倣困難性は、蓄積経緯の独自性、因果曖昧性、社会的複雑性で特徴づけられる。
RBVの課題
概念的には腹落ちする理論ですが、本社ではRBVの課題としていくつか述べられています。その中でも「RBVはビジネスに使えない」という意見が多いようです。なぜ使いづらいかといえば、RBVはフレームワーク化が十分に進んでいないことがあげられます。SCPはフレームワーク化された「ファイブ・フォース」「ジェネリック戦略」が代表例としてあげらます。これらは企業経営理論でも出てきます。一方RBVはVRIOフレームワーク(Value:価値、Rarity:稀少性、Imitability:模倣可能性、組織:Organization)が代表的ですが、SCPフレームワークと比較すると、まだあまり評価されていないようです。
アクティビティ・システム
そんな中でアクティビティ・システムが有用なフレームワークと捉えることができます。これは企業のビジネスの行動(アクティビティ)のつながりを図示するフレームワークです。
以下サウスウエスト航空の事例です。
参照:https://tma-cs.blogspot.com/2011/03/blog-post_03.html
サウスウエストでは様々なアクティビティが、互いに密接に関連しています。これだけのアクティビティが複雑に絡み合っていたらその模倣は困難で、競合他社が模倣しようとしてもことごとく失敗しています。
すなわちこのアクティビティ・システムは、「社会的複雑性」と「因果曖昧性」が高く、また一朝一夕でできるものでないので「蓄積経緯の独自性」も強くなっています。
ライバルからの模倣を困難にするには、複雑で一貫性のあるアクティビティ・システムを築くべき
ただしアクティビティ・システムを考案したのは、SCP理論で有名なマイケル・ポーターです。
SCP理論 vs RBV
SCP理論とRBV どちらが重要かという問いに対しては、「どちらも重要」という結論になります。その業界で競争の型やそれに親和性のある戦略も異なってきます。どちらを優劣つけるのではなく、その業界の競争環境に合う戦略を考える必要があり、そのためには両理論が考え出された背景や関係性を知っておく必要があると考えます。
まとめ
リソースに限りがある中小企業では、アクティビティ・システムをどこまで磨いていけるかがキーになると考えます。内ではシンプルに、外から複雑で模倣困難なビジネスを構築して競合優位性を獲得する必要があります。